直前の試合で横浜FCが敗れたため、残留は確定されましたが、できれば勝って決めたかったこの試合。
特に後半があまり良くなかったので、なかなか上手くいかない印象が残る試合でしたが、全てが悪かったわけではありません。一つずつ振り返っていきましょう。
試合概要
今節はAWAYで柏レイソルと対戦しました。
- キックオフ日時：2025/11/8 16:03
- 場所：三協フロンテア柏スタジアム
- 天候：曇一時晴
- 気温：13.7℃
スタメン・控えメンバー
この試合、前線3人は木村、永井、菊池と機動力があって走れるタイプの3人をチョイス。柏のビルドアップに対して前からプレスをかけに行くという監督の意図が見受けられます。
そして、藤井が謎のベンチ外。単なるコンディション不良だけであれば良いのですが。元々ベルギー時代に脛を怪我しているのでそちらの悪化等でないことを祈ります。
試合評価
【良かった点①】前半の前プレ戦術
まずこの試合、前半の流れは悪くなかったです。それどころか名古屋がペースを掴んでいました。
うまくいった要因は主に2つで、
- 前線からのプレッシャー（前プレ）に後ろも連動して相手をはめられていたこと。
- その結果、柏があまり得意としないデュエル勝負に持ち込めるケースが多かったこと。
柏は攻撃の際、基本的には後ろから繋ぐか、繋ぐのは難しい場合は小島からの低く正確なフィードで前線に当てるか、どちらかの選択肢をとります。
そして、今回お互いに3-4-2-1のフォーメーションですので、システム上完全に噛み合う構造になっています。
名古屋は噛み合う構造の中、前線からプレッシャーをかけ、後ろの選手も相手の攻撃陣を捕まえに行くことで、パスの出しどころを減らし相手のパスミスを誘い、高い位置でボールを奪って攻撃を仕掛けることを狙っていました。
その結果、2つのビッグチャンスを生み出しています。
1つ目は前半12分のシーン。小島のフィードミスを原がカットしダイレクトで永井へ。ドリブルで少し持ち出した後、カットの瞬間には走り出していた稲垣へパス。その動きに相手が釣られたことで木村がフリーになり、それを見た稲垣は木村にパス。そのまま木村がシュート。
結果的にシュートは相手GKの小島に止められてしまいましたが、高い位置でボールを奪い、相手の守備ブロックを崩した状態で点を取るという名古屋の狙いを完璧に体現できたシーンでした。
2つ目は前半35分のシーン。相手のゴールキックの際、相手ディフェンダーがGKに対してパスを出したところ、GKの小島がボールを見れておらずそのままボールは永井の元へ。ダイレクトでシュートを打つものの小島に阻まれたシーン。
ここで特筆すべきは永井の動き。相手ディフェンダーの古賀がパスを出す前から、永井は既に相手GKに向かって走り出しています。
もちろん相手のミスが要因ですが、前線からプレスをかける意識を常に持ち続けていたからこそ生まれたチャンスだと考えます。
だからこそ…この2つのチャンスをものにして、試合を優位に進めたかったところではあります。
【良くなかった点】後半のポジティブ・トランジッションの遅さ
上でも記載した通り、名古屋は前半から前プレ戦術を取ってきました。
この戦術の一番の課題は、体力の消耗が激しいところです。特に前線の選手は、前半からボールを追って走り続けているので体力的に苦しくなってきます。
その影響が顕著に現れたのが後半の中盤〜終盤にかけてです。
前線からのプレスが弱まることで、相手にボールを前に運ばれる。名古屋にとっては低い位置でボールを奪うことになるが、ボールを奪った直後の前線の動き出し（ポジティブ・トランジッション）が少なくなるので、後ろはパスを出す先がない状態が続いていました。
そして、ボールを奪っても無理やりパスを出すしか選択肢がなく、簡単に相手に奪われるという悪循環が発生していました。
また、うまく前線でボールを受けることができたとしても、後ろからの押し上げ・フォローも少なく、すぐにボールを奪われてしまうというシーンも多く発生していました。
ここには、この試合に欠けるモチベーションの差もあったかもしれません。
柏は、直前の試合で優勝を争う鹿島が勝っていたため、勝たなければ優勝戦戦から一歩交代してしまう状況。逆に名古屋は横浜FCが負けたため、試合開始直後に残留が確定した状況。
ハーフタイムで選手に鹿島vs横浜FCの試合結果が伝えられていたかどうかまでは不明ですが、明らかに柏・名古屋でモチベーションの差があり、それがトランジッション（攻守の切り替え速度）の差という形で表れていたと思います。
やはり、優勝を狙うチームは勝者のメンタリティを持っている。そのメンタリティの差が、結果に影響してしまった試合だと感じました。
スタッツ
| 項目 | 柏 | 名古屋 |
|---|---|---|
| 得点 | 1 | 0 |
| シュート | 10 | 6 |
| 枠内シュート | 5 | 3 |
| ゴール期待値 | 0.43 | 0.50 |
| ボール支配率 | 56% | 44% |
| ボール奪取位置 | 40.4m | 31.1m |
| 走行距離 | 119.424km | 118.322km |
| スプリント | 149 | 101 |
| パス（成功率） | 534（80%） | 476（73.3%） |
| フリーキック | 10 | 10 |
| コーナーキック | 9 | 3 |
| PK | 0 | 0 |
スタッツを見ると、試合の印象ほど悪くはないのです。ゴール期待値は名古屋がわずかですが上回っていますし、柏のボール支配率が56%というのも柏にしてはかなり低い数値です。
これは、オウンゴールで失点はしたものの、名古屋の守備陣は試合全体を通して奮闘したことと、後半体力的に苦しくなりながらも懸命にプレスをかけ続けた結果、柏の良いところを消し続けることができていたことを証明しています。
前半2つの決定機を決めていれば勝てていた可能性も高い試合でした。結果は残念ですが、決して悲観するような内容ではありません。
選手評価
[16] 武田 洋平
評価：★★☆☆☆（2）
最後尾での繋ぎが不安定なシーンが多かった。特に、受け手が困ってしまうパスを出すことでボールを奪われる場面があった。
[3] 佐藤 瑶大
評価：★★★☆☆（3）
守備面での強度の高さ。ほぼミスがなく安定感のあるプレーを見せた。
熱くなるシーンがあったがイエローで済んで良かった。
[20] 三國 ケネディエブス
評価：★★☆☆☆（2）
失点シーンで2つのミスがあったのは事実。1人だけラインが低く、相手にラインのズレをつかせてしまったことと、失点時に自分のマークを外してしまったこと。後ろからフォローも来ていたし、相手の右サイドはシュートを打つ角度もなかったので、ここは味方に任せれば防げた可能性が高かった。
失点シーン以外については、垣田・細谷とマッチアップする相手が変わる中でもよく守れていた。
ただ、中盤での不用意なパスミスは減らすべき。このクラスの相手だと一気にピンチになってしまう
[70] 原 輝綺
評価：★★★☆☆（3）
攻守ともにバランスをとる動き。全体的に破綻は無いし攻撃に顔を出すシーンも何度かあったが、効果的な攻撃に結びつけることはできなかった。
[2] 野上 結貴
評価：★★★☆☆（3）
守備の強度はさすが。特に、チーム全体でほぼマンマークで相手につく中、原が最前線まで相手を追うシーンがあったが、それが出来るのは後ろでに野上がいるから。
ただ、前半ジエゴを完全フリーにしたシーンは野上についていってほしかった。
[7] 和泉 竜司
評価：★★☆☆☆（2）
特に守備面で献身的なプレイを見せるも、失点シーンで相手についていけなかった。
ラインが崩れていたとはいえ、なんとかついていって欲しかった。
守備に奔走するケースが多かったので、攻撃面ではあまり決定的な場面に絡めず。
[14] 森島 司
評価：★★☆☆☆（2）
この試合展開だと良さを活かせるシーンは少ない。ボールがガチャつく状況が多い中で受ける・捌くができていなかった。もう少しボールを落ち着かせられるとよかった。
[15] 稲垣 祥
評価：★★★☆☆（3）
この試合は強度の強さを活かせる試合展開。相手のボールを刈り取るシーンも多かった。
前半の木村のチャンスシーンは、ボールを奪った直後に稲垣が最前線に走り出したからこそ生まれた。あのトランジッションの切り替えはさすが。
チームが苦しい中、この試合で一番トランジッションの高さを見せていた。
[18] 永井 謙佑
評価：★★★☆☆（3）
前半の献身的な前プレは相手も嫌がっていた。前半の決定機は永井の走りだしが生み出した結果い。ただ、決めて欲しかった…
[33] 菊地 泰智
評価：★★☆☆☆（2）
なかなかクオリティを出しきれない。試合に絡み切れていない印象。
チーム全体の調子の悪さに引きずられるパフォーマンスだった。
本来クオリティの高い選手なので、もっと良さが活かせる試合展開になれば…
[22] 木村 勇大
評価：★★★☆☆（3）
最前線でボールが収まるのは相変わらずさすが。チームとしても本当にありがたいが、決めるところを決めないとゲーム全体が苦しくなる。
決定力が上がれば間違いなく相手の脅威になるので是非伸ばして欲しい。
[6] 河面 旺成
評価：★★★☆☆（3）
チーム全体で動きが重くなかなか良いフィードを出すシーンは無し。
ただ、守備面での大きな破綻はなく安定していた。
やはり最適なポジションは左CBか。
[8] 椎橋 慧也
評価：★★★☆☆（3）
中央でボールを受けて捌く力を見せた。彼にボールが入ると落ち着いた。
周囲がよく見えているように見える。
ただ、試合を決定的に動かすほどの影響は出せなかった。
[44] 森 壮一郎
評価：★★☆☆☆（2）
チームにエネルギーをもたらしたが決定的な仕事まではできず。
守備面で相手に抜かれるケースが多々あるのは成長の余地あり。間合いの作り方の問題か。
[11] 山岸 祐也
評価：★★☆☆☆（2）
ここ数試合と同じく、なかなか良い形でボールを受けられず良さが活かしきれない。
試合になかなか絡めていない状態が続いているのが心配。
[30] 杉浦 駿吾
評価：★★☆☆☆（2）
短い出場時間で仕事できる場面はほぼ無し。
今後は出場時間を伸ばすことを考えて練習に臨んで欲しい。
監督 長谷川 健太
評価：★★☆☆☆（2）
前プレ戦略は悪くなかったが、前半で点が取れなかったことが全て。後半は選手の消耗により徐々に失速。後半早々の失点後はもう打てる手を無くしてしまった印象。
前線の選手が体力を消耗することは事前にわかっていたはずなので、もっと早い段階で選手を変えることで、プレッシャーの強度を上げる、トランジッションの高さを維持するプランが組めなかったか？
おわりに
負けはしたものの、特に前半は相手を押し込んでいた試合。総合的には優勝争いをする柏をよく抑えていた試合でした。
幸いにも残留は決まりました。ここから先は来季につなげる試合、名古屋のプライドを見せる試合です。
次も難敵町田です。町田がJ1に昇格してからまだ一度も勝てていない相手ですので、意地とプライドを見せて、何としてでも勝利しましょう！
そして、我々サポーターも全力で後押ししていきましょう！！
