いやー、ジェットコースターのように試合の動きが乱高下した試合でしたね。
最低限の勝ち点1はゲットしたものの、勝てる試合で引き分けて勝ち点2を失った印象も強く、今季を象徴するような一戦となったこの試合を振り返っていきましょう。
試合概要

今節はAWAYで横浜FCとの対戦しました。
- キックオフ日時:2025/10/18 14:03
- 場所:ニッパツ三ツ沢球技場
- 天候:曇り
- 気温:26℃
スタメン・控えメンバー
ゴールキーパーは武田。U-20W杯から帰ってきたピサノはベンチメンバーです。同じくU-20W杯出場の森壮一郎もベンチからのスタート。右サイドには前の試合でゴールを決めている野上が入ります。
注目の左ウィングは、怪我の中山に変わって徳本がスターティングメンバーに名を連ねており、和泉はトップ下での起用です。最前列には前節移籍後初ゴールを決めた木村を起用しています。
試合評価
ゲームを支配したが一発にやられた前半
前半は完全に名古屋のペースでした。
選手の縦の距離感がとてもよく、中盤でこぼれ球を拾えていたことでボールをほぼ支配していました。
さらに、前線で木村がボールを収めてくれるので、そこを起点に決定的なチャンスを何度も作れていました。オフサイドでのゴール取り消しがなかったら、一方的な試合展開になっていた可能性もあると思います。
対する横浜FCは戦前の予想通り、最前線の選手に向かってロングボールを放り込んでくる戦術。ただ、名古屋が風上に立っていたこともあり、ロングフィードの精度が悪く相手はほぼ攻撃面で強さを出すことが出来ていませんでした。
だからこそ、、前半唯一とも言えるピンチの場面で失点してしまったことがとても悔やまれます。
失点シーンは、左右にボールを振られて福森を完全にフリーにさせてしまった時点でかなり不利な状態でした。
後ろで構えている状態の中で左右に振られ、相手センターバックが前線に顔を出してボールを持つ。しかも持っているのは高いキック精度を持つ福森。
その時、一番近くにいたのは野上と和泉。だが、どちらも距離が遠くプレッシャーをかけられる状態ではなく、急いで和泉が向かうもほぼフリー状況でクロスを上げられた状況なので、正直前の選手は打てる手立てがなかったように思います。
※ あえて言うなら5バックの一角に入っていた野上があえて自分のポジションを捨ててプレッシャーをかける素ぶりだけでも見せて良かったかな…とは思いましたが、和泉も向かっていましたし、それでも精度の高いクロスが上がっていたと思います。
そうなると、中で藤井が抑えて跳ね返す以外の選択肢がない状況ですが、櫻川ソロモンの動き出しにやられてバランスを崩してしまった。この時点で勝負ありです。
この失点から全体としてトーンダウンしてしまいました。相手が比較的引く姿勢を見せたことでスペースがなくなり、さらには長い芝でボールのスピードがなかなか出ずパスミスもあり、効果的な攻撃が出来なくなった前半でした。
試合の動きが大きく乱高下した後半
後半開始からも前半の流れそのままに相手は引いて守る姿勢。名古屋が攻めるスペースがなく、攻めあぐねている状態が続きます。
あぁ、この流れは0-1で負けるパターンか…と思った矢先のセットプレーの中でのPK獲得。
この日の主審の飯田さんは、しっかりとプレーを見ながらファウルと思われる場面では結構笛を吹くタイプだったこともあり、藤井が相手のンドカに手を絡まれて倒れたことを見逃さず、PKを取ってくれました。
※ 他の審判であれば、流されていてもおかしくないプレーだったと思います。名古屋としては助かりました。
このPKをもはやPK職人と化している稲垣がど真ん中に蹴り込み名古屋が同点に。これで稲垣の今シーズンのPK成功率は驚異の100%です。
同点に追いついた後は相手も前に出てくる展開に。この流れの中で途中出場の河面が左サイドでボールを拾い、シュート性のボールを中に供給。ファーサイドで詰めていた佐藤が蹴り込み名古屋が逆転。
このゴールは河面のナイス判断によって生まれました。早いグラウンダーのボールを中に入れたことで相手のアクシデントを誘った好プレーでした。
このゴールが後半35分。残りの10分間は相手の猛攻を受けることになるのですが…そこで守りきれないのが今季の名古屋の弱み。ロスタイムに横浜FC細井のロングスローのこぼれ球を伊藤槙人に決められ同点。
森島のヘディングクリアが守備に戻っていた山岸にあたり、そのボールが伊藤の足元に来てしまう不運があり決められてしまいました。
この失点は、シーンを単体で切り取るよりも、その前の戦い方に問題があったと思います。完全に相手に押し込まれてしまい、ボールを奪っても無理なクリアになってまた相手ボールになるという悪循環が発生していました。
ここで、ボールを奪った際に、チームとして落ち着いてボールをキープし繋ぐ動きがあれば。そしてその結果、前線でチャンスに繋がることができれば、相手も攻めるのか守るのかの迷いが出るので、ここまでドン引きはならなかったと思います。
もちろん難易度が高いのはわかりますが、上位にいるチームはこういったところを強かに行ってくるはずです。その強かさが足りなかったと思います。
そしてそのまま試合終了。結果的には勝ち点1ずつを分け合い、残留に向けて一歩前進しましたが、今季を象徴する様な勝ちきれない試合となってしまいました。
スタッツ
項目 | 横浜FC | 名古屋 |
---|---|---|
得点 | 2 | 2 |
シュート | 9 | 17 |
枠内シュート | 7 | 11 |
ゴール期待値 | 0.74 | 2.26 |
ボール支配率 | 37% | 63% |
ボール奪取位置 | 33.6m | 28.9m |
走行距離 | 111.595km | 112.227km |
スプリント | 106 | 108 |
パス(成功率) | 258(57%) | 479(79%) |
フリーキック | 8 | 23 |
コーナーキック | 5 | 9 |
PK | 0 | 1 |
スタッツを見ると、全体的に名古屋が圧倒しているスタッツです。特にゴール期待値は名古屋が大きく差をつけています。逆に、横浜FCのゴールスタッツが0.74に対して、2失点してしまったところに課題がありそうです。
また、ボール奪取位置が名古屋の方が低いのは、後半最後の方でかなり押し込まれた影響が大きいと思います。この辺りの戦い方に、今季の名古屋の不調が現れていると感じます。
選手評価
[16] 武田 洋平
評価:★★★☆☆(3)
2失点のシーンはどちらもノーチャンス。それ以外は全体を通して安定した戦いを披露。
バランスを崩しながらもユーリララのヘディングシュートを外に書き出した場面はさすがでした。
[3] 佐藤 瑶大
評価:★★★★☆(4)
ロングボールをひたすら弾き返して攻撃を相手の攻撃を遮断。細かなミスはいくつかあったものの、ゲームの流れに影響するようなプレーはなかった。
得点シーンはあの位置にいることが全て。ここにボールが来るかも?という嗅覚を感じるし、だからこそ今シーズンの得点の多さにつながっている。
[13] 藤井 晴也
評価:★★☆☆☆(2)
1失点目のシーンは櫻川ソロモンを止めて欲しかったシーン。それ以外に失点を止める方法がほぼない状況で競り負けてしまった。前半の相手のチャンスはこの1本だけだったことを考えると残念だった。
ただ、効果的な持ち上がりと対角のロングフィードで攻撃面での起点となれていた点はgood。期待を込めての評価。
[70] 原 輝綺
評価:★★☆☆☆(2)
前半のオフサイドの場面、相手のプレッシャーがあったのである程度は致し方ないが、結果的にゴールを取り消してしまった。
試合全体を通して守備面では良かったが、持ち前の攻撃参加はあまり見られなかった点が残念。
[2] 野上 結貴
評価:★★☆☆☆(2)
1失点目のシーンは5バック化して後ろをカバーしていたとはいえ、キックに定評がある相手がドフリーの状態だったので、あえてバランスを崩してでも前に出てプレッシャーをかける選択肢があっても良かったかもしれない。
試合全体を通してハードな守備でチーム全体を助けたが、攻撃面ではあまり起点になれなかった。
[14] 森島 司
評価:★★★☆☆(3)
相変わらず後ろでボールを持つとチーム全体が落ち着く。中盤のリンクマンとして常にボールを受け続けていた。
ただ、相手が引いて構えている時に横パスが増えて効果的なパスが出しきれていなかった点は残念。前線の動き出しが少なかったこともあるが、こういった場面でチームを動かして相手の嫌がるパスを出せるようになれば、もう1段階上に行ける。
[15] 稲垣 祥
評価:★★★☆☆(3)
ここで決めるか決められないかでゲームの流れが大きく変わる場面での、ど真ん中へのPKは流石。
ただ、それ以外の場面では全体的にデュエルの場面も少なかった。攻撃面でも前線まで入り込むケースはそれなりに多かったが、相手に着かれて決定的なチャンスまでは作りきれなかった。だいぶ相手に警戒されているのは事実なので、その中で何ができるかを見たい。
[55] 徳本 悠平
評価:★★☆☆☆(2)
芝の問題もあったかもしれないが、全体的にパスが不安定だった。そのまま前半のみで菊池と交代。
ちょっと自信をなくしている印象を受ける。特にクロスを上げる場面。せっかく良いキックを持っているので、前線でボールを持った時は自信を持って上げてほしいと思う。何かきっかけがあれば一気に改善される予感も。
[7] 和泉 竜司
評価:★★★☆☆(3)
前半はシャドー。後半は右へ左へとポジションを変えてチーム全体を助けた。
特に目立った場面はなかったが、足元の技術もうまく活用しながらチーム全体のバランスをとり安定感をもたらすプレーはさすがキャプテン。
[10] マテウス・カストロ
評価:★★☆☆☆(2)
開始直後はイケイケで随所にテクニックを見せていたが、失点後に失速。ボールを持ちすぎるケースが多くあまり効果的な動きになっていなかった。
怪我の程度が心配。軽傷であることを祈る。
[22] 木村 勇大
評価:★★★★☆(4)
前線でボールを預けたら何だかんだキープしてマイボールにしてくれる点が頼もしく、味方からのボールも良く入っていた。
特に、イーブンな状況から最終的には敵陣でのセットプレーに繋げるシーンが多々あった。あのプレーをしてくれることで、ゲーム全体の流れを引き寄せることが出来るので高感度は高い。完全にチームの武器の一つになっている。
[6] 河面 旺成
評価:★★★★☆(4)
後半33分に木村に代わって投入。
直後の35分に左サイドでボールを受けて速いボールを中に入れて相手のアクシデントを誘ったのは見事の一言。
今シーズン左ウィングでの起用は2試合だが、全然いけるのでは?と思わせる出来栄え。その後のプレーも特に守備面で安定していた。
[33] 菊地 泰智
評価:★★★☆☆(3)
後半開始から徳元に変わって投入。
後半開始時点で相手が引いて守る中では消えている時間が多かったが、チームが得点しスペースが生まれてからはボールに多く絡み始めた。
2点目の無理な体制から左にボールを流すことで起点になった。やはりパスセンスは高いし、周囲がよく見えている。
[11] 山岸 祐也
評価:★★☆☆☆(2)
後半19分に野上に代わって投入。
持ち前のポストプレイはいくつか見せたが、全体的には前線で起点になれていなかった。
最後の失点シーンは身体を当てて欲しかったが、そこを山岸に求めるのは酷。
[18] 永井 謙佑
評価:★★★☆☆(3)
負傷したマテウスに代わり前半49分に投入。
後半の1点目まではスペースがなく苦しんでいたが、リードした後は前からのチェイスやスペースをつく動きでチームに貢献。
やっぱり永井が走るとチームが湧くし相手にプレッシャーを与えられる。まだまだ必要な選手。
監督 長谷川 健太
評価:★★★☆☆(3)
最低限の結果である勝ち点1はゲット。リードされている場面で河面を投入し一時逆転した点に勝負強さを感じる。
ただ、最後は失点しないための戦いをして欲しかったのが本音。後ろにドン引きするのではなく、時に前で相手にプレッシャーを与える戦いが出来ればと悔やまれる。
この試合のベストプレイ
とても悩む…河面の交代直後のクロスも良かったし、稲垣のど真ん中PKもさすがだった。
ただ、あえてこの試合では木村の前線での体を張ったプレイをピックアップします。
この試合、相手がある程度後ろで構えてくることはわかっていた中で、前線でボールをキープし、最終的には敵陣深くでのセットプレーを何度も獲得することで、ゲーム全体の流れに良い影響を及ぼしていたのは間違いないです。
あそこでボールを奪われるか、マイボールにできるかでその後の展開が大きく変わる中、セットプレーまで獲得してくれるのは、、頼もしさしか感じません。
よって、この試合のベストプレイは『木村選手の前線での体を張ったプレイ』を選びたいと思います。
あえて…苦言を一言
チームを好転させるためにあえて苦言を言うと…
試合後の長谷川監督のインタビューで、最後押し込まれた場面で、相手の細井選手のロングスローに対し「ある程度致し方ない」という発言をされていた点が気になりました。
どんな組織でもそうですが、組織トップが「致し方ない」という発言をしてしまうと、チーム全体として「まあ、しょうがないか」という雰囲気を生み出してしまいます。
選手だって人間です。試合に望むメンタリティは結果に影響します。そんな中、ここ数年チーム全体として『必ず勝てる』という勝者のメンタリティが不足しているのでは?と筆者は感じています。勝ち続けるチームは必ずこのメンタリティを持っているはず。
ゲームの流れや、選手へのメンタル影響等も考えての発言だとは思いますが、チームに『必ず勝つ』という強い意志を持たせるためにも、この発言は不要だったかな…とは思います。
おわりに
この試合、引き分けに終わったことで引き続き降格権との勝ち点差は8。残り試合を考えると降格の恐れはほぼないと言えますが、まだまだ油断は禁物です。
次の試合はホームでのガンバ大阪戦。あまり相性が良いイメージはないですが、、ここで勝てば残留はほぼ確実です。次の試合に向けて、我々サポーターも一丸となって応援していきましょう!!!